1)義歯性疼痛
TCHの状態になると食事をしていない時でも、義歯の下の粘膜が圧迫され血液の流れが悪くなり、疼痛が過敏化する可能性があります。また、この状態で食事をすると咀嚼することで粘膜に負担がかかり疼痛が出る可能性があります。
2)歯の慢性咬合痛
歯の痛みがあるのに、歯には問題がないという場合や歯内療法の治療後、問題がないのに痛みがないという場合、TCHの可能性があります。TCHが原因で圧迫されると歯根膜が過敏化し、歯と歯が少し接触しただけでも痛みを感じることがあります。
3)歯周病の悪化
歯周病が原因で、ぐらぐらしている歯にTCHによって負担がかかると歯槽骨の吸収が早くなり、歯周病の症状が悪化します。
4)充填物・補綴物の離脱
TCHの状態だと充填物や補綴物に余計な負担がかかり、負荷が偏ると取れやすくなります。特にブリッジではTCHによって持続的に負荷がかかることで外れやすくなります。総義歯の場合、安定性が悪くなります。
5)歯冠破折
大きな充填物で修復している歯の場合、TCHの状態にあると残っている歯が欠けやすくなります。
6)慢性口内炎
TCHの状態では舌が歯に押し付けられたり、頬の粘膜が歯列に押し付けられるため口の中の粘膜の表面に流れる血流量が少なくなります。このため、食品等による外傷がきっかけとなって発症する口内炎は治癒が遅くなります。また、口の中が長時間、緊張した状態になると唾液の分泌が少なくなり、口内炎が再発することが多くなります。
7)舌痛症
TCHの状態にある人は、舌筋も緊張した状態にあり、周囲の歯列に舌を押し付けています。舌痛症は、舌を周囲に押し付けることで表面の血流が低下して感覚過敏が始まることでおこると考えられています。
8)咬合違和感
咬み合せの違和感を感じている方で、「歯科医院で治療を受けてから違和感が始まった」と訴えられる患者様が多くいらっしゃいます。この場合もTCHが関係している可能性があります。歯科治療を受けたことで咬み合せに変化が起こり、TCHの患者様は無意識に噛む位置を探すようになり、TCHの状態が長時間化します。そして、歯が圧迫されるので歯根膜の血流が悪くなり、歯の接触感覚が過敏になります。こうなると本来は正常な接触でも強く異常だと感じるようになるため、さらに噛む位置を探そうとし、過敏化を維持するという悪循環に陥ります。
9)舌・頬粘膜の誤咬
日中のTCHが夕方まで持続することで、咬筋や舌筋が疲労します。そうすると、食事の際に舌や頬の粘膜をあやまって噛んでしまうことがあります。筋疲労が原因で起こるので、夕食時に起こることが多いです。