東北地方太平洋沖地震によって福島第一原発が大きく損傷し、放射能汚染が少しずつ懸念され始めています。もた、世界一安全だといわれていた日本の原子力発電の事故は、世界中で原子力発電所の存在の是非にまで議論が発展しています。そういった環境下、今後も伸び続けることが予想されている電力を補うために、発電システムの発展は火急の問題といえるのではないでしょうか。

そこで注目を集めている発電のひとつが、バイオマス発電です。

バイオマス発電とは

 バイオマスとは、広義には「太陽エネルギーを貯えた様々な生物体の総称」とされる。葉緑素を持つ生物は光合成によって太陽エネルギーを有機物としてその体内に蓄えられたのち、植物、土壌、大気、その他の生物を循環する。この蓄えられた有機物を燃焼させることによりエネルギーを得ることができ、発電に利用することができる。
 本論文においては、より狭義な「木質バイオマス」に関して述べる。木質バイオマスとは、上記した生物のうちで特に植物、木材に関してそのエネルギーを取り出すものであり、バイオマスエネルギー中で現在最も有力視されているものである。(以下、バイオマスとは木質バイオマスを指すこととする。)
 では、バイオマス発電とはどんな発電方式なのであろうか。その大きな特徴は「二酸化炭素排出量がほぼ0」ということである。バイオマス発電は燃料として、林業における木材生産の過程に排出される端材や規格外材を用いる。発電所では発電時に燃焼による二酸化炭素が排出されるが、森林の二酸化炭素吸収量とほぼ同程度となるため、トータルの二酸化炭素排出量は従来の発電方式と比べごく微量、もしくは収支ゼロとなる。また、伐採された林地には新たに植樹を行い、この営みを繰り返す。
 このような、「林業」と「発電」を合わせた大きな1つの系として考えたものがバイオマス発電である。

今回の原発事故で、首都圏では電車の本数が減少したり、計画停電が実行されたりと、電力の供給不足が私たちの生活に大きな影響をあたえることを実感させられました。私たちの普段の節電はもとより、より安全に効率の良いエネルギー利用を改めて人類は考える時期に来ているのかもしれません。そのような中、新たな発電技術を世界に発信していくためにも、現実に起こっている問題から目を背けずに対処していってもらいたいものです。

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