「1番になった後」
ドイツで開催されたスーパーコンピューター(スパコン)の国際会議で20日、計算速度を競う世界ランキングが発表され、理化学研究所と富士通が共同開発中の「京(けい)」が、世界第1位となりました。日本のスパコンが首位となったのは、2004年6月の「地球シミュレータ」(NEC製)以来、7年ぶりの事です。「京」は、1秒間に1京(1000兆の10倍)回の計算能力を目指す国家プロジェクト。1秒当たりの計算速度は8162兆回で、昨年11月、初めて1位となった中国のスパコン「天河」の2566兆回を3倍以上も上回り、2位との差を大きく引き離しての1位となりました。
世界のスパコン開発競争は激烈です。計算スピードも重要ですが、今後具体的にどのような成果を上げていくかが課題とされており、多額の国費を投入した「京」は、これからの可能性が注目されています。今後は、生命科学や物質化学、防災分野などでの利用が期待されており、津波の到達する時間や高さを数分で、正確に計算できる能力などが開発されています。
2009年11月の事業仕分けで予算削減の憂き目に遭ったスパコンですが、その部品製造には宮城県や福島県の工場が参加しており、3月の東日本大震災では大きな影響を受けました。被災によって、操業がストップし、プロジェクトは危機的状況に陥ったのです。プロジェクトの一時停止が検討されたのですが、そこでのちに世界一位となる「京」を救ったのは東北の協力会社でした。富士通の間塚会長は東北の関係者に「『このプロジェクトはストップさせない。必ず協力する』と言われた」と明かし、「最先端の技術を東北の協力会社が支えていた。それがなければ世界一はなかった」と強調しました。スパコン開発の技術者達を支えた東北、そして東北を支えた日本中の力が、京の「世界一」へとつながったのです。
最大限の努力の結果、獲得した世界1位の座ですが、今後も激しい開発競争は続きます。「1番を目指さないと駄目か」と問われ、「歴史の法廷に立つ覚悟があるのか」と怒りをあらわにした理化学研究所の野依理事長は、巨大科学技術の性能トップができればいいというだけでなく、その活用も国民の期待に応えなければいけないと述べました。「どんな立派な機械装置をつくるか」ではなく、「どのように使っていくか」。世界一のスパコン性能に感心するだけでなく、私たちも今後のスパコン活用に関心をもつ必要があります。日本ならではの地震・津波予測への活用や、太陽光・風力など再生エネルギーへ活用など、世界を舞台にした「ものづくり日本」のこれからの活躍に今、期待が高まっています。
アルフィックス日報より
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